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「歴史に学ぶくらいならワンピースを」日本史学者・呉座勇一の警告
https://withnews.jp/article/f0180806000qq000000000000000W02k10101qq000017768A


記事によると
・「本能寺の変」や「関ケ原の戦い」などを巡り、世にはびこる様々な陰謀論や俗説を、専門家の視点から“ガチ検証”した『陰謀の日本中世史』(角川新書)が11万部のベストセラーになっている。

・――では歴史を学ぶコツって何でしょうか

「歴史『に』学ぶのをやめることです。歴史上の英雄は、さも未来を完全に見通して策略や陰謀を図った、という風に称賛されがちですね。
でも、超能力者でもないのに『100%計算通り』なんてありえないでしょう。そんな超人から、われわれ凡人が何を学ぶんですか」

「ビジネス書には『信長のようにビジョンを持て』などという話がよく登場しますが、ビジョンを持てばうまくいくというのは少し違う」

「むしろ、見通しが外れたときにどう軌道修正していくかというほうが大切だし、そういう危機管理能力に注目したほうが、現代を生きる上で役立つのではないでしょうか。
そこから『起死回生の一策』が生まれることもある。ただそれも、うまくいくかどうかというのは結果論によるところが大きいと思います」


――でも、ビジョンは欲しいし「物語」も欲しいです
 
「それを求めるなら、ぜひ『ワンピース』や『スラムダンク』などの素晴らしいフィクションでどうぞ。歴史を『物語化』するのは全くお勧めしません」


「これはかなりまじめな話です。事実、俗説を『歴史的事実』と誤解し、それを根拠に物事を決定して、失敗してしまった例は多い」

「例えば、太平洋戦争。日本軍が奇襲を多用した背景の一つに、源義経が一ノ谷の戦いで見せた(断崖絶壁を馬で駆け下り、敵陣の背後を急襲した)『鵯越の逆落とし』があったと言われます。
「『義経は奇襲で平家の大軍に勝った。だからわれわれも、奇襲でアメリカに勝てる!』と思ったわけです」

「しかし奇襲が上手くいったのは真珠湾攻撃など最初だけで、あとは連戦連敗でした」

「実は最近の研究では、鵯越の逆落としは『平家物語』の創作で、事実ではない、と考えられている。現実の義経は、非常に用意周到な武将だったことが分かってきています」


「その場で奇想天外な作戦を思いついたのではなく、自身に有利な態勢を着々と整え、勝つべくして勝った。
義経の作戦をきちんと研究していれば、『奇襲で戦争に勝てる』などという見当違いの教訓を導き出すことはなかったでしょう。
歴史を物語として学んでしまうと、こういう大やけどをすることもあるのです」


「歴史学の手法をぜひ知って」

――歴史「に」ではなく、歴史を学ぶにはどうすればよいでしょうか

「この本を通して、歴史学の手法をぜひ知ってほしいです。真実にたどりつくまでのプロセス、つまりどう考えて、
調べて、研究を進めれば歴史的事実をある程度確定させられるのかという手法を学ぶということです」
 
「この技術は現代にもつながります。歴史上の史料は、偽書なども紛れていて実に玉石混交です。そういったものを慎重に見定め、
真実にたどりつこうとする歴史学の手法は、現代の情報社会を生きるうえでのスキルにも近いと私は思います」



呉座勇一 - Wikipedia

呉座 勇一(ござ ゆういち、1980年 - )は、日本史学者。国際日本文化研究センター助教。東京都出身。


著書

『一揆の原理 日本中世の一揆から現代のSNSまで』(2012年、洋泉社)ちくま学芸文庫、2015
『戦争の日本中世史 「下剋上」は本当にあったのか』(2014年、新潮選書)
『日本中世の領主一揆』(2014年、思文閣出版)
『応仁の乱 戦国時代を生んだ大乱』(2016年、中公新書)
『陰謀の日本中世史』(2018年、角川新書)





この記事への反応




タイトルだけ見るとそんなアホなと思いますが中身はもっともな話だった。

歴史をストーリーとして消費するくらいなら漫画読んだ方がマシって言う良い提言だった。

猛省されられた記事。「歴史に学ぶ」とよく授業で言ってしまってたなあと。小学生相手に,少しでも歴史に関心を持ってもらいたいと考えていたものの…ここで言われている「危険」をよく考えないと…

たぶん「歴史に学」んでる人はスラムダンクやワンピースからも学んでいると思う。リーダーシップとかビジネスマナーとか。

どうなんでしょね。警告したくらいで人々が歴史を物語として娯楽化したり、単純に現代におけるハウツー物の素材とすることを止められるのだろうか?"

自分一人の過去の記憶も物語であるからして、人間が過去から学ぼうとするかぎりは、物語としての歴史に学びたいという欲求が止むことはないと思うが、物語の作られ方には常に注意が必要だろうな。

「学ぶ対象」の「歴史」に不純物が紛れ込んでたらおかしなことになってしまう。それが事実かどうか考える必要を教えてくれるものも「歴史」だったりする。

歴史を物語として読んじゃう人、本当に多い。わかりやすいのはわかるのだけど。

表紙に陰謀論の一例が載ってるけど、売れてるって事は結構信じてる人が多いってことなの?

あぁ……だからこそ『凡庸』なのか😰


歴史「に」学ぶのでなく歴史「を」学べ、と。たしかに歴史ってどこまで創作か分からんもんねぇ
















なにかに感化されやすかったり、陰謀論好きなのは構わないけど、あんまり真に受けすぎるのもどうかと思うよな





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