
私が調査地で一番精神的につらかった経験は寄生虫や疫病で死にかけたことよりも、仲良くしていた知人から「俺、〇〇族のガキを殺したことがあるんだ」という「武勇伝」を聞かされたことでした。民族紛争での人殺しの経験をニヤニヤと嬉しげに語るのを目の前にして、何か「糸が切れてしまった」んです。
— Aisanazman Marukwamy (愛沙奈まみ) (@marukwamy) December 6, 2021
私が調査地で一番精神的につらかった経験は
寄生虫や疫病で死にかけたことよりも、
仲良くしていた知人から
「俺、〇〇族のガキを◯したことがあるんだ」
という「武勇伝」を聞かされたことでした。
民族紛争での人◯しの経験をニヤニヤと嬉しげに語るのを目の前にして、
何か「糸が切れてしまった」んです。
ついさっきまで聖書やらキリストの愛について語っていたのと同じ人間が人殺しの話を始めたのに最初は頭が全然追い付かなくて、何でコイツは殺人の話をしてるんだと思っていたら目眩と強烈な頭痛で視界が揺らいで酷い耳鳴りが始まって結局詳細はよく聞き取れませんでしたが、彼はとても楽しそうでした。
— Aisanazman Marukwamy (愛沙奈まみ) (@marukwamy) December 6, 2021
ついさっきまで聖書やらキリストの愛について
語っていたのと同じ人間が人◯しの話を始めたのに
最初は頭が全然追い付かなくて、
何でコイツは◯人の話をしてるんだと思っていたら
目眩と強烈な頭痛で視界が揺らいで
酷い耳鳴りが始まって結局詳細はよく聞き取れませんでしたが、
彼はとても楽しそうでした。
1990年代に民族紛争があった時に敵対民族の村同士で戦争が行われて、当事者はもちろん殺し合いをしているのですが殺人で捕まった人間なんてごく僅かなもので大多数の人間はそのまま日常に復帰しています。なので人殺しの経験がある人間なんてごく当たり前にいる所だというのは百も承知のはずでした。
— Aisanazman Marukwamy (愛沙奈まみ) (@marukwamy) December 6, 2021
それでも実際に目の前で親しい人間に「〇〇族のガキの首をへし折って死体を蹴飛ばして云々…」なんていう話を自慢げに始められたらまるで鈍器で頭を殴られたような、眉間がとにかく割れそうなくらいの耐えられない頭痛がして、やっぱり当時の私は紛争地の事情なんて何も理解出来てなかったのでしょう。
— Aisanazman Marukwamy (愛沙奈まみ) (@marukwamy) December 6, 2021
これは別に調査地に限らず戦後の日本だって出征地のどこぞで一般人を殺してた元兵士なんて当たり前に社会の中に居たはずなのでしょうが、結局そういった戦争と後の時代の日常との連続性がどういうものなのか想像する能力が無かったせいで、とにかくショックと痛みを味わうしかありませんでした。
— Aisanazman Marukwamy (愛沙奈まみ) (@marukwamy) December 6, 2021
普段から現地人を殴りたくなるくらい腹が立つことはよくあるのですが、この時は彼を殴ったり武勇伝を制止したいとは思いませんでした。ただ、頭痛と耳鳴りが収まってくるのと同時にこの人の中では自分の手で人を殺すこととキリスト教道徳は何も矛盾していないという単純な事実を悟って楽になりました。
— Aisanazman Marukwamy (愛沙奈まみ) (@marukwamy) December 6, 2021
これが「系が切れた」経験ですが、お陰で現地人を見る目が随分変わったと思います。以来は現地でどれだけ残虐な出来事を見聞きしてもそれが人間の在り方だからしょうがないやと考えるようになりましたし、平和やら和解を上から押し付けようとする方が間違いなのではないかとも思うようになりました。
— Aisanazman Marukwamy (愛沙奈まみ) (@marukwamy) December 6, 2021
彼とはその後もずっと友好関係が続いていますし、コロ禍もノーワクチンの不衛生な環境で生き延びて元気にやっているようです。私は彼を犯罪者だ人殺しだのと責める考えは全くありませんし、殺しの経験が彼にとっては思い出す度に心躍る経験なのも理解する気はありませんがどうということもありません。
— Aisanazman Marukwamy (愛沙奈まみ) (@marukwamy) December 6, 2021
ちなみに後で他の人に教えてもらって分かったことですが彼自身も叔父と従兄弟を民族紛争で殺されているそうで、彼自身の村も壮絶な被害が出ているので本当はあまり民族紛争の話はしない方がいいということらしいのですが、それでも彼が殺人経験を語る様子はとても楽しそうだったのが忘れられません。完
— Aisanazman Marukwamy (愛沙奈まみ) (@marukwamy) December 6, 2021
この記事への反応
・最初だけ見たら知人やばいってなるんだけど、
その知人も被害を受けてる時点でなんとも言えない…。
紛争問題は本当に難しいな、
でも1つ確かに言えることは人の正義は環境によって歪むってこと。
紛争のない地域で育った私からしたら批判も肯定すらも出来ない。
ただ、争いが減ることを願ってるよ。
・遠藤周作が描く中国で快楽◯人や◯姦を繰り返しまくった
日本兵が日常に復帰している様は本当に恐怖。
ニコニコ笑っている好々爺が妊婦の腹を裂いて◯した過去がある
というのが実はよくある日常だったのが昭和の日本。
・大人になっても学生時代おかしな奴がいて
皆でイジメてたみたいな事を楽しそうに話す人がいるわけで、
人間なんてそうやって周りに流されるゴミ屑なんだわ。
ホームレス排除して街が綺麗になりましたとかも同じ
・宮崎駿が子供の頃にずっとこういう武勇伝ばかりを聞かされたので、
すっかり左になってしまったことを熱風かなにかで言ってた記憶
・ルワンダ?インドネシア?
・フィールドワークとして
その前提を理解したうえで入ってるのに
この反応はナイーブすぎない?
その経歴を含めて研究してるんでしょ?
その人の積み重ねた歴史をなんだと思ってるの?
・もしかしたら、その知人氏は
自分のした事が「◯人」なのだと認めたくないがために
自慢話や武勇伝にしたのかもしれない……。
でなければ
彼自身が良心の呵責に耐えられなくなるから。
そうして誰かに「お前スゲェよ」とか「よくやったな」って言ってもらって
免罪符にしたいのかもしれないな……
これ、世界中のどんな立場の人でも
そっち側にいくかも知れないんよな……

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